『元彼の遺言状』で主役だった剣持麗子が、亡くなった町弁先生の業務を引き継いでサクサク解決していく短編集…かと思いきやの連作短編。
第一話 家守の理由
両親も既にいなくなった実家にある日立ち退けと不動産屋がやってきたら驚くな。
20年以上住んでいたら「時効取得」になるのでは?と思ったら、当人は知らなくても賃貸契約書があったら適用されないのか。知らなかった。
読んでて思い出したけど同じように失踪届け出しての離婚成立も、実際に経験した人に話を聞くと「失踪した日」を届けてから年数のカウントが始まるそうでこれも自分のぼんやりとした認識と違っていて驚いた。
でも離婚に関しては特に子供や財産でもめないのなら、離婚届とっとと出しちゃえばいいのでは?とも思った。話を聞いた経験した人はちゃんとしたかったらしいw
常識的には不可解な行動も当人の話をよくよく聞けば筋が通っていたり。
奈良漬けの彼女(笑)そんなものでも大量に食べたら酒気帯び運転に引っかかるほどの数値が出るのか。
第ニ話 手練手管を使う者は
連作短編なんだな。
一話で助けた黒丑の弁護料回収のつもりが、同じホストクラブの先輩の弁護を依頼される麗子先生、いい人だ。
そして光秀と信長のいざこざで黒幕が木下って秀吉って暗喩か。
第三話 何を思うか胸のうち
「久しぶりに地面に立ったという人も多いでしょう。足腰は、皆さんが思っている以上に、弱っています!」
国内有数の大弁護士事務所、麗子先生の勤務先の運動会での注意喚起(笑)
同期の三神愛先生、AI三神って(笑)
百ページを越えるルールブックのある運動会(笑)
逃げた人を追いかけて追いつめると暴行罪、最悪傷害致死になるのか。
第四話 お月さまのいるところ
まだら認知症か。
「こうすれば儲かると分かっていても、それはやってはいけないという境界線」
犯罪にはならない罪か。
第五話 ピースのつなげかた
「ビジネス書というのはつまり、奴隷根性を養うための教科書である」
本屋の店主、客はマルチ商法のカモ
なんかなるほどと思ってしまった。
私がビジネス書を読み進めるのがツラいのは奴隷になりたくない無意識の抵抗?
(単に考え疲れて嫌になるだけ(笑))
「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役を引き受けるなら、人を殺す自由がある」
これは同意できないけど裁判は善悪の判断をする場ではなく、有利な証拠をどれだけ揃えられたか競う場になっているように思う。
感想まとめ
シリーズ3冊目、麗子先生が出てくるお話では2冊目の今作。
ライトな短編集かと思ったら最終話で全ての事件の黒幕組織が登場。
次はこの組織と麗子先生の対決になるのか?
弁護士が主役の話だからかちょこちょこ法律豆知識が出てくるのが面白い。
シリーズ読んでない方も剣持麗子弁護士が、仕事熱心でお金に執着している平凡な男を彼氏に持つバリキャリ女性だけど意外と情に厚いいい人だと思って読めば大丈夫!
著者の新川帆立さん、出す本がどんどんTVドラマ化されていく痛快なお話を書かれる方で要チェックだ!
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